『三度目の殺人』を見てきました。是枝裕和監督と福山雅治がタッグ ネタバレ注意

映画

本日公開の映画、『三度目の殺人』を見てきました。是枝裕和監督と福山雅治さん、広瀬すずさん、役所広司さんの豪華なキャストで話題です。

是枝裕和監督作品は、『そして父になる』、『海街diary』、『海よりもまだ深く』と鑑賞してきて本作が4つ目です。ほんの数日前に、この作品を知り上映日まで内容もよく知らないままの鑑賞となりました。

 
福山雅治さん、広瀬すずさん、役所広司さんの共演も気になる『三度目の殺人』は、これまで見た是枝作品とはかなり違った雰囲気の映画です。

多くの場面が裁判所や法廷、法律事務所、刑務所の面会室、独房といった無機質で殺風景な舞台です。映画の全体に重苦しい空気が流れ、重厚で格調のある雰囲気が漂います。それゆえ、映像の中に引き込まれ、意外な物語の展開に飽きることのないまま上映時間が過ぎました。

朝一で家から近い、某モール内の映画館に足を運びました。封切り初日とはいえ、月曜日の午前9時台です。

これまで是枝作品を見に来ると、劇場内が閑散としていることが多かったのですが、今日はそこそこ人が入っています。作品の内容からして、万人にウケる映画ではないはずです。

想像するに、やはり福山人気でしょうか。是枝作品は『そして父になる』以来の出演です。女性には絶大な人気を誇りますが、結婚後はだいぶ株を下げたとも報じられていました。それでも人気は健在のようです。

今回も、男前なのはもちろん、年相応の風格も増して、弁護士役を好演されていました。

広瀬すずさんも、『海街diary』に続き、是枝作品に再登場です。女優としての評価を問われることもあるのでしょうが、まだ若いこともあり私にはピンと来ませんでした。

一瞬のイメージシーンを除いて、ずっと暗い影を背負った少女として登場しました。『海街diary』でいうと、鎌倉に引っ越してくる前のあの表情、あの雰囲気。今作品では、終始一貫して変わりませんでした。

役所広司さんはすごかった。最近では、CMのおかしなサムライの印象が強いですが、今作では殺人犯役として、狂気をまとった怪演を披露しています。

強いて言えば、『羊たちの沈黙』のハンニバルを彷彿とさせる、ぞっとするような犯人役でした。この作品は、心理サスベンスという形容もされていますが、役所広司さんの出演場面については間違いなく、サスペンスです。

その他の出演者で印象的だったのが、斉藤由貴さん。出演者をチェックしていなかったこともあり、彼女の登場には思わずのけぞりました。是枝監督をはじめ、関係者は扱いに頭を悩ませたのだろうと想像します。

ただ、皮肉にも今回の役柄と報じられる内容が重なり合う部分があり、物語が妙にリアルに感じられました。

今回は、常連の樹木希林さん、リリーフランキーさんの姿が見えなくて残念でした。リリーフランキーさんは、現在上映中の映画で、主役を張っているようです。

その代わりというと失礼ですが、登場した市川実日子さんは、樹木希林さん張りの存在感でどことなく似ているように感じたのは私だけでしょうか。

吉田鋼太郎さんも、都合がつけばリリーフランキーさんが演じていたのでは、という感じがしないでもないのですが、やっぱり系統的に似ている人を引っ張って来た感が拭えません。

リリーフランキーさんよりは線が太く、存在感のある方ですので、今回の作品の雰囲気作りには大切な役目を果たされたと思います。

冒頭から気になったのですが、福山雅治さん演じる弁護士が、仲間の弁護士を演じる吉田さんを呼び捨てにするんですね。調べてみると、吉田鋼太郎さんが1959年1月14日生まれの58歳、福山雅治さんが1969年2月6日生まれの48歳。

一回り違うのでやはり呼び捨ての違和感は仕方ないですね。ちなみに、リリーフランキーさんは、1963年11月4日生まれの53歳。こちらは、実質4歳上なので、呼び捨てもありだったのかなという、どうでもいいことを考えていました。

『海よりもまだ深く』に続いての出演となる橋爪功さんもベテランらしく、圧巻のいい味を出してました。時代による価値観の変化を体現するような、重要な役回りでした。

注目は、松岡依都子さん、法律事務所の事務員を演じられています。大阪人キャラを全面に出して、重くなりすぎる場面を救ってくれました。誰?と思って調べたら、『海よりもまだ深く』にも出演されていたようです。今後も注目していきたいですね。

肝心な映画の内容ですが、ネタバレを最小限に書こうと思うと悩ましいですね。

一言で言えば、私たちの社会の常識やさまざまな矛盾を再考させられる映画、ということになるのでしょうか。私たちの社会にはびこる不正、矛盾、怒りを暴き出すような、是枝監督のメッセージが込められているように思います。

常識は個人の価値観によっても異なりますが、個々の価値観に疑問が生じ、覆されかねない状況に陥っていきます。福山雅治さん演じる弁護士の心理的な変化が、そのまま見ている私たちの気持ちをゆさぶります。

正義とは、真実とは、誠実とは、私たちがあたりまえに思っていることが、果たして正しいのだろうかと問いかけられます。

今回の映画は、司法の場を舞台として描かれていますが、司法の場に限らず、社会全体にあてはまる問題を鋭く提起していると感じました。いくつかのキーワードが出てくるのですが、一つ一つの言葉が、重く心に刺さります。

唯一救われるのが、一瞬のイメージシーンです。

劇中、福山雅治さん、広瀬すずさん、役所広司さんが3人で絡むシーンはありません。一瞬差し込まれるイメージシーンでのみ共演が実現します。大自然をバックにした微笑ましく美しいシーンです。

今回に限らず、映画の撮影でも広く用いられているのかもしれませんが、ドローンでの空撮が効果的に用いられていて印象的でした。

多くの要素が幾重にも折り重なった物語で、一度見ただけでは全貌を理解することは難しいかもしれません。もう一度見れば、もう少し細かな点にも気づくかとは思いますが、何せストーリーが重い。サスベンス系の話は得意ではないこともあり、再度鑑賞することは気が進みません。

作品自体は、社会の多様な問題を切り取った上質な作品だと思います。そこに心理サスベンスを織り交ぜて、興味深い作品に仕上げています。

何かのインタビューで読みましたが、広瀬すずさんによると、『海街diary』で是枝監督はやさしいお父さんだった。でも、今回はするどい目をしていた。というようなことを語っていました。

是枝裕和監督は長年にわたって海外でも高い評価を受けています。ただ、国内での知名度は海外ほどではないようです。身の回りの自称映画好きの人に話を振ってもピンとこないことが多いのです。どうしてそんなことになるのか、不思議です。

今回の作品は特に、芸術家として、あるいは映像屋としての是枝裕和氏の実力が遺憾なく発揮された映画なのかもしれません。気になった方は、ぜひご鑑賞ください。

『三度目の殺人』公式サイト

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